上に立つ者の道・32箇条

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平成16年12月例会にて

これは、マツダの相談役、岩澤正二(マサジ)が、住友銀行の副頭取時代に
まとめたものである。人物評論家の故伊藤肇が自著でとりあげてから、
全国の経営者に広まった。

リーダーの三条件は、@人望、A手腕、B先見性、C運 と云われるが、
重要度から云えば、人望がその六割以上を占めるといっても過言ではないだろう。

この「三十二箇条」は、人望を得る為の要諦を述べたものと考えてよい。
リーダーシップ涵養の一助になれば幸いである。

1.むかう所を明瞭に示せ。
2.信を他の腹中に置け。
3.虚心担懐、光風霽月、是を是とし、非を非とせよ。
4.褒める時褒め、叱る時叱る。忘れたり、遠慮したりするな。
5.権謀は無策に劣る。功詐は拙誠にしかず。
6.功を部下に推し、責めを身に引け。
7.金銭に恬淡たるべし。
8.自然に導くを得ば、上の上なり。
9.己に薄く、人にあつく、己に厳に人に寛なれ。
10.長所を見て人を使え。人は誰しも長所を有す。
11.愚痴と立腹と厭味とは人の上に立つ者の大禁物、
  いいたきことあるも堪え得る雅量あるべし。
12.為すべきことを為すために、いかなる情実も、
  いかなる困苦もこれを排し、断固としてなすべし。
13.みだりに難きを責むるな。ただし、泣いて責むべき場合あり。
14.自分がまず研究して確信を得よ。
15.広く意見を徴すべし。部下の話は熱心に聞け。
16.部下の人事に熱心なれ。人の世話はよくしてやれ。
17.その労するところを知り、よく、これをねぎらえ。
18.寡黙重厚。従容自若。眼眸厳正。挙止端正。
19.よく休ませ得る者は、よく働かせ得るものなり。
20.人のことをわがこと程に思え。
21.努めて失意逆境にある人をひきたてよ。
22.自他の職域を守り、これを尊重せよ。
23.知らざることは、あくまで知らずとなせ。
24.少なく言い、多く行え。
25.絶えず研究して、一歩先んぜよ。
26.小疵(小さな失敗)をもって大功を没すべからず。
27.部下に威張るな。部下の機嫌をとるな。至誠一貫、正々堂々。
28.外柔内剛、柔らかくとも一節あれ。
29.事をなすには、腹をきめてかかれ。
30.上に立つ者は、部下をして己の最大の保護者たることを感ぜしめよ。
31.自分一人にて事をするな。任せて人を使え。ただし、監督を怠らば、
  仕事をする人に張り合いがなくなる。
32.象徴を高く掲げ、衆心一致、精神の統一をはかれ。
  中心の引力はあらゆる手段をつくして強固ならしむべし。