学而第一 005

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原文                        作成日 2003年(平成15年)3月から 4月
子曰、道千乘之、敬事而信、節用而愛人、使民以時。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく千乗(せんじょう)(くに)(みちび)くに、(こと)(けい)して(しん)(よう)(せっ)して(ひと)(あい)し、(たみ)使(つか)うに(とき)(もっ)てす。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「国を治めるに当って政治家としての心構えは、

   一に、事業を慎重に行なって、人民に公約したことは必ず実行すること。
   二に、経費の節約に務め、税負担を軽くして人民をいたわってやること。
   三に、人民を土木工事などの公役(あるいはボランティア等)に使う際には、
              ピークタイム(農繁期)を避けて、アイドルタイム(農閑期)を選んで
              実施すること」と。
 
〔 解説 〕

千乗とは戦車千輌の意味で、「千乗の国」と云えば、戦車一千輌の軍事力のある中国(ちゅうこく)ということになります。天子(てんし・国王)は万乗の大国、諸侯(しょこう・諸大名)は千乗の中国、大夫(たいふ・家老)は百乗の小国と云うのが、当時の社会通念でした。

信とは人+言で、言(げん)を違(たが)えぬこと、即ち公約(約束)を守る事と捉えて良いでしょう。言うこととやることが一致して、初めて人に信用・信じ、用いられるようになる。信用されて更に言行一致に務めれば、次には信頼・信じ、頼られるようになる。信頼されて更に言行一致に
務めれば、今度は信任・信じ、任されるようになる。信任されて一層言行一致に務めれば、愈々(いよいよ)信奉・信じ、奉じられる人物となり、遂には信仰・信じ、仰ぎみられる大人物となる。

言うこととやることが一致していなければ、いくら「信じてくれ!」と云った所で、誰も信用して くれないんですね。これだけやっているのに、どうして自分のことを信用してくれないのだろうか!?と、不満に思うことがあったら、どうか一度、あなたの云っていることとやっていることが 一致しているかどうか?言行一致かどうかを振り返ってみて下さい。必ず思い当たる節がある 筈ですから。
 

〔 一言メッセージ 〕
『信とは人+言で言(げん)を違(たが)えぬこと。信用→信頼→信任→信奉へと
   つながる』
 
〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、 国会(こっかい)議員(ぎいん)は、(すく)なくとも(つぎ)のことを(こころ)(がけ)けなさい。

@ 軽(かる)はずみな発言(はつげん)行動(こうどう)(つつし)んで、選挙(せんきょ)(こう)(やく)(政治家(せいじか)として自分(じぶん)はこういうことをします!と約束(やくそく)したこと)を(かなら)(まも)りなさい。

A 税金(ぜいきん)無駄(むだ)づかいせず、本当(ほんとう)国民(こくみん)(ため)になることに使(つか)いなさい。

B 国民(こくみん)(あん)(安心(あんしん)安全(あんぜん))・()((ゆたか)かな経済(けいざい))・(そん)((たが)いに(とうと)びあう)・(えい)((さか)える)を(かな)(まも)(ため)に、毅然(きぜん)とした態度(たいど)((つよ)意思(いし))で政治(せいじ)(のぞ)みなさい
 
〔 親御さんへ 〕

政治の目的はどこにあるかと云えば、「国家及び国民の安(あん)・富(ぷ)・尊(そん)・栄(えい)を叶え守ること」、これ以外にはありません。安とは治安維持や安全保障、富とは豊かな経済、 尊とは教育の充実、栄とは発展繁栄することと、捉えて良いでしょう。

これを叶え守るのが政治家の使命ということですが、今の日本は一体全体どうなっているので しょうか?国民が拉致されているというのに、国は指を食えたまま何もしようとしない。企業 倒産や失業が増え続けているというのに、何の手も打てない。人心が荒廃し、凶悪犯罪が 激増しているのに、何の予防措置も取らない。少子高齢化が進み、国庫がパンク寸前だと いうのに、何の打開策も講じない。

これでは、何の為に税金を払っているのか、訳が分かりません。政治家は一体何をしているのでしょうか!?安・富・尊・栄を叶え守ることが政治家の使命である筈なのに、今の政治家は、国家及び国民を「恐(きょう)・貧(ひん)・侮(ぶ)・亡(ぼう)」の奈落に陥れようとしているのではないでしょうか?

国連は世界人類同胞の安・富・尊・栄を叶え守ること。政治家は、国家及び国民の安・富・尊・栄を叶え守ること。経営者は、会社及び従業員の安・富・尊・栄を叶え守ること。親は、家庭及び家族の安・富・尊・栄を叶え守ること。こんなことは当たり前ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

万一、安・富・尊・栄を脅かしたり妨害したりする存在があれば、強制力を以て排除するのも又当たり前のことですね。この強制力を以て排除する役目を担っているのが、国内に於いては警察・対外に於いては軍隊である訳です。

日本には、自衛隊はあっても軍隊はありません。自衛隊は専守防衛、つまり、守りに徹して
攻撃してはいけないことになっていますから、これをボクシングに喩えれば、ブロックは許されるがパンチを放ってはいけない!と宣告されてリングに上がるようなものです。これでは自衛隊員は犬死してしまいます。

「泥棒を捕えて縄を綯(な)う(事が起ってからあわてて用意することの比喩)」という俗諺があり ますが、現在の日本の防衛体制は、将にそういう状態なんですね。「軍隊のレーゾンデートル (存在事由)は、国家及び国民の安・富・尊・栄が外敵から脅かされそうになった時、強制力を以てこれを排除することにある!」と明確に定義すれば、何が何でも軍隊反対・軍備反対・
スパイ防止法反対と、主張する必然性はどこにもないでしょう。

侵略戦は一切やらない!しかし、防衛戦ならとことん受けて立つ!!日本国及び日本国民の安・富・尊・栄を脅かす存在に対しては、強制力を以て断固排除する!!!と宣言すればいいんですよ、日本国首相は。

目の前で自分の子供が暴行されそうになった時、貴方は体を張って守ろうとしませんか? 横田めぐみさんのご両親や蓮池透さんを見てみなさい。あれが肉親を守ろうとする本当の姿、 ひいては国を守ろうとする本当の姿ですよ。
 

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