学而第一 012

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原文                        作成日 2003年(平成15年)3月から 4月

有子曰、之用和貴、先王之道斯美。小大由之、有所不行。 知和而和、
不以
節之、亦不可行也。
 

〔 読み下し 〕
(ゆう)()()わく、(れい)()(もっ)(たっと)しと()すは、先王(せんのう)(みち)(これ)()()す。小大(しょうたい)(これ)()れば、(おこな)われざる(ところ)あり。()()りて()すれども、(れい)(もっ)(これ)(せっ)せざれば、(また)(おこな)うべからざるなり。
 
〔 通釈 〕
有子云う、「礼の運用には和が大切であり、古の王も和を美徳とした。しかし、何でもかんでも 和だけに頼っていると、お互いにもたれ合ってうまく行かないことがある。だから、和の大切な ことを知って和するのは結構だが、節度をもった礼制(ルール)で折り目をつけないと、必ず行き詰まってしまうものだ」と。
 
〔 解説 〕
聖徳太子の十七条憲法の第一条に、「以和為貴・和を以て貴しと為す」とありますが、これは太子オリジナルのものではありません。論語のこの箇所から採ったものなんです。聖徳太子は仏典をよく読んだ方で、「法華経」の解説書(法華経義疏(ぎしょ))を著わしておりますが、「論語」にも精通していたようです。
 
〔 一言メッセージ 〕
『和を以って貴しと為し、礼を以って之を節す』
 
〔 子供論語  意訳 〕

(ゆう)先生(せんせい)()った、「()まりごとをきちんと実行(じっこう)するには、 みなが(こころ)(ひと)つにして協力(きょうりょく)()ってやることが大切(たいせつ)だ。 だから(むかし)(ひと)(たち)()ということを大切(たいせつ)にした。しかし、なんでもかんでもやさしくおだやかにやっていると、(なに)をやっても(ゆる)されると勘違(かんちがい)いして、公共(こうきょう)秩序(ちつじょ)(みだ)してしまう(ひと)()()るんだね。こういう(ひと)のことをならず(もの)()うんだよ。注意(ちゅうい)しても()うことをきかないならず(もの)(たい)しては、ちょっときつい おしおきが()るんだね。(こわ)()(いた)()にあわないと、(また)やるからね。君達(きみたち)は、ならず(もの)をのさばらせてはいけないよ」と。
 

〔 親御さんへ 〕

「和を以て貴しと為す」とはあまりにも有名な言葉で、日本人ならば知らぬ人はいないのでは ないでしょうか。この言葉は解説でも申しましたように、聖徳太子のオリジナルではありません。 論語を読んだことのない人は、十七条憲法の冒頭で謳われているから、きっと聖徳太子が 作った言葉だろうと思っているようですが、実は論語のこの章から採ったものだったんですね。 今日は一つ物知りになりましたね
 

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