017 |
子曰わく、政を為すに徳を以てすれば、譬ば北辰其の所に居りて、衆星之に共うが如し。 |
018 |
子曰わく、詩三百、一言以て之を蔽う。曰わく、思邪無し。 |
019 |
子曰わく、之を道くに政を以てし、之を斉うるに刑を以てすれば、民免れて恥ずること無し。之を道くに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥ずる有りて且つ格し。 |
020 |
子曰わく、吾十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳順い、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず。 |
021 |
孟懿子、孝を問う。子曰わく、違うこと無し。樊遅御たり。子之に告げて曰わく、孟孫孝を我に問う、我対えて曰わく、違うこと無しと。樊遅曰わく、何の謂ぞや。子曰わく、生けるには、之に事うるに礼を以てし、死すれば之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。 |
022 |
孟武伯孝を問う。子曰わく、父母は唯其の疾を之憂う。 |
023 |
子游、孝を問う。子曰わく、今の孝は是れ能く養うを謂う。犬馬に至るまで皆能く養う有り、敬せずんば何を以て別たんや。 |
024 |
子夏孝を問う。子曰わく、色難し。事有れば弟子其の労に服し、酒食あれば先生に饌す。曽ち是れを以て孝と為さんや。 |
025 |
子曰わく、吾回と言う、終日違わざること愚なるが如し。退いてその私を省みれば、亦以て発するに足る。回や愚ならず。 |
026 |
子曰わく、其の以す所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察れば、人焉んぞ廋さんや。人焉んぞ廋さんや。 |
027 |
子曰わく、故きを温ねて新しきを知る、以て師と為るべし。 |
028 |
子曰わく、君子は器ならず。 |
029 |
子貢君子を問う。子曰わく、先ず行う、其の言は而る後に之に従う。 |
030 |
子曰わく、君子は周して比せず、小人は比して周せず。 |
031 |
子曰わく、学びて思わざれば則ち罔く、思うて学ばざれば則ち殆し。 |
032 |
子曰わく、異端を攻むるは、斯れ害のみ。 |
033 |
子曰わく、由、女に之を知るを誨えんか。之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり。 |
034 |
子張、禄を干めんことを学ぶ。子曰わく、多くを聞きて疑わしきを闕き、慎しみて其の余りを言えば、則ち尤寡なし。多くを見て殆きを闕き、慎みて其の餘りを行なえば、則ち悔寡なし。言に尤寡なく、行ないに悔寡なければ、禄は其の中に在り。 |
035 |
哀公問うて曰わく、何を為さば則ち民服せん。孔子対えて曰わく、直きを挙げて諸を枉れるに錯けば、則ち民服す。枉れるを挙げて諸を直きに錯けば、則ち民服せず。 |
036 |
季康子問う、民をして敬忠にして以て勧ましむるには、之を如何にせん。子曰わく、之に臨むに荘を以てすれば則ち敬す。孝慈なれば則ち忠あり。善を挙げて不能を教うれば則ち勧む。 |
037 |
或ひと孔子に謂いて曰わく、子奚ぞ政を為さざる。子曰わく、書に云う、孝なるかな惟れ孝、兄弟に友に、有政に施すと。是れ亦政を為すなり、奚ぞ其れ政を為すことを為さん。 |
038 |
子曰わく、人にして信無くんば、其の可なるを知らざるなり。大車
輗無く、小車
イ無くんば、其れ何を以て之を行らんや。 |
039 |
子張問う、十世知るべきや。子曰わく、殷は夏の礼に因る、損益する所知るべきなり。周は殷の礼に因る、損益する所知るべきなり。其れ或いは周を継ぐ者は、百世と雖も知るべきなり。 |
040 |
子曰わく、其の鬼に非ずして之を祭るは諂いなり。義を見て為さざるは勇無きなり。 |