為政第二 035

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原文                   作成日 2003年(平成15年)5月から7月
哀公問曰、何則民服。孔子對曰、直錯諸枉、則民服。枉錯諸直、
則民不服。
 
〔 読み下し 〕
哀公(あいこう)()うて()わく、(なに)()さば(すなわ)(たみ)(ふく)せん。孔子(こうし)(こた)えて(のたま)わく、(なお)きを()げて(これ)(まが)れるに()けば、(すなわ)(たみ)(ふく)す。(まが)れるを()げて(これ)(なお)きに()けば、(すなわ)(たみ)(ふく)せず。
 
〔 通釈 〕
魯の哀公が、「どうしたら人民が心服するようになるだろうか?」と問うた。孔子はこれに対して、「誠実な人を登用して、邪(よこしま)な者の上に立てれば、人民は心服するようになります。邪(よこしま)な者を登用して、誠実な人の上に立てれば、人民は心服しません」と答えた。
 
〔 解説 〕
哀公とは魯の君主。人材を用材に喩えた話しですが、孔子は、重職には能力よりも人物本位で登用せよ!と述べております。有能な人間は、その気になって探せばいくらでも居りますが、バランス感覚に優れて出来た人物となると、そう滅多にお目にかかれるものではありません。

しかし、欲張らなければそれ相応の人物はいるものですから、普段から目を付けておいた方が良いですね、誠実でバランス感覚のある人を。
 
〔 一言メッセージ 〕
『金を動かすには金のプロ、物を動かすには物のプロ、人を動かすには人のプロを挙げよ』
 
〔 子供論語  意訳 〕
()(こく)殿様(とのさま)哀公(あいこう)が「どうしたら国民(こくみん)納得(なっとく)して政府(せいふ)協力(きょうりょく)するようになるでしょうか?」と質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は「大臣(だいじん)には正直(しょうじき)(ひと)(えら)んで、国民(こくみん)(うそ)をつかないことです。こうすれば、(だま)っていても国民(こくみん)政府(せいふ)協力(きょうりょく)します。不正直(ふしょうじき)(ひと)大臣(だいじん)(えら)んで国民(こくみん)(うそ)をついたりすれば、国民(こくみん)(かなら)政府(せいふ)反抗(はんこう)するようになるものです」と(こた)えた。
 
〔 親御さんへ 〕
「正直の頭(こうべ)に神宿る」や「オネスティイズ ザ ベスト ポリシー(正直は最善の策である) 」という諺があるように、正直である・素直であることは、世界に共通する美徳のようですね。「徳」とは、彳(てき)+直+心ですから、素直な心で素直に行なえ!という意味なんですね。曲がったりヒネクレたりしたら、徳ではないんです。
 
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