八佾第三 054

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原文                 作成日 2003年(平成15年)7月から 10月

子曰、周監於二代、郁郁乎文哉。吾從周。
 

〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、(しゅう)二代(にだい)(かんが)みて(いく)(いく)()として(ぶん)なる(かな)(われ)(しゅう)(したが)わん。
 
〔 通釈 〕
孔子云う「周は夏・殷二代の礼制を手本として周文化を打ち建てたから、その文物制度は馥郁(ふくいく)とした美しさがある。私は周の麗しい礼制に従おうと思う」と。
 
〔 解説 〕

孔子が生きた時代は、周代(東周)末期の春秋時代で、礼制が極度に乱れておったようです。孔子は弟子達に「礼楽」を教えた訳ですが、孔子の生涯はある意味での「ルネサンス運動」であったと云えるかも知れません。
 

〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、(しゅう)()時代(じだい)(いん)時代(じだい)二代(にだい)伝統(でんとう)()()いで、大変(たいへん)(うつく)しい文化(ぶんか)(たも)って()た。だから(わたし)は、この(うつく)しい伝統(でんとう)(まも)(つづ)けたいと(おも)う」と。
 
〔 親御さんへ 〕

中国は文字の国と云われますが、漢字は時代とともに 簡略化が進められて、中華人民共和国以降は「簡体字(かんたいじ)」が使われております。

字体の変遷を調べてみますと、「甲骨文(こうこつぶん)」→「金文(きんぶん)」→「篆文(てんぶん)」→「隷書(れいしょ)」→「楷書(かいしょ)」→「行書(ぎょうしょ)」→「草書(そうしょ)」と変化して来たようです。

簡体字になってから半世紀になりますが、最近ちょっと困ったことが起きているそうでありま
して、中国の50才以下の人達は、自国の古典である漢籍が全く読めなくなってしまったということです(書道をやっている人は別)。更に毛沢東の文化大革命の頃に「孔老二(こうろうに)批判(孔老二とは次男坊野郎の孔子という意)」・現代版焚書坑儒を徹底的にやった為、重要な古書がかなり失われてしまいました。

開放政策以降、漢籍の復興が始まったのですが、中々良いテキストが見つからない。そこで、漢籍を専門にやろうとする学生は、わざわざ日本に留学せざるを得ない状況になっているとか。自国の古典を学ぶ為に、外国に留学しなければならんというのも、情けない話ですね。「源氏物語」や「古今集」を研究する為に、アメリカに留学するようなものですからね。
 

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