445 |
陽貨、孔子を見んと欲す。孔子見えず。孔子に豚を帰る。孔子其の亡きを時として往きて之を拝す。諸に塗に遇う。孔子に謂いて曰わく、来たれ、予爾に言わん。曰わく、其の宝を懐きて其の邦を迷わす、仁と謂うべきか。日わく、不可なり。事に従うを好みて亟時を失う、知と謂うべか。日わく不可なり。日月逝く、歳我と与にせず。孔子日わく、諾。吾将に仕えんとす。 |
446 |
子日わく、性、相近きなり。習、相遠きなり。 |
447 |
子日わく、唯上知と下愚とは移らず。 |
448 |
子、武城に之きて弦歌の声を聞く。夫子莞爾として笑いて日わく、雞を割くに焉んぞ牛刀を用いん。子游対えて曰わく、、昔者偃や諸を夫子に聞けり、日わく、君子道を学べば則ち人を愛し、小人道を学べば則ち使い易しと。子日わく、二三子、偃の言是なり。前言は之に戯れしのみ。 |
449 |
公山弗擾、費を以って畔く。召ぶ。子往かんと欲す。子路説ばずして曰わく、之くこと末きのみ。何ぞ必ずしも公山氏に之れ之かんや。子日わく、夫れ我を召ぶ者にして豈徒ならんや。如し我を用うる者あらば、吾は其れ東周を為さんか。 |
450 |
子張、仁を孔子に問う。孔子日わく、能く五つの者を天下に行うを仁と為す。之を請い問う。日わく、恭・寛・信・敏・恵なり。恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち人任じ、敏なれば則ち功あり、恵なれば則ち以て人を使うに足る。 |
451 |
仏肸召ぶ。子往かんと欲す。子路曰わく、昔者由や諸を夫子に聞けり。日わく、親ら其の身に於いて不善を為す者には、君子入らざるなりと。仏肸中牟を以て畔く。子の往くや之を如何。子日わく、然り、是の言有るなり。堅しと日わずや磨すれども磷がず。白しと日わずや涅すれども緇まず。吾豈匏瓜ならんや。焉んぞ能く繋りて食われざらんや。 |
452 |
子日わく、由や、女六言六蔽を聞けるか。対えて曰わく、未し。居れ。吾女に語げん。仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚。知を好みて学を好まざれば、其の蔽や蕩。信を好みて学を好まざれば、其の蔽や賊。直を好みて学を好まざれば、其の蔽や絞。勇を好みて学を好まざれば、其の蔽や乱。剛を好みて学を好まざれば、其の蔽や狂。 |
453 |
子日わく、小子、何ぞ夫の詩を学ぶこと莫きや。詩は以て興すべく、以て観るべく、以て群すべく、以て怨むべし。邇くしては父に事え、遠くしては君に事え、多く鳥獣草木の名を識る。 |
454 |
子、伯魚に謂いて日わく、女周南召南を為びたるか。人にして周南・召南を為ばずんば、其れ猶正しく牆に面して立つがごときか。 |
455 |
子日わく、礼と云い礼と云うも、玉帛を云わんや。楽と云い楽と云うも、鐘鼓を云わんや。 |
456 |
子日わく、色しくして内荏なるは、諸を小人に譬うれば、其れ猶穿窬の盗のごときか。 |
457 |
子日わく、郷原は徳の賊なり。 |
458 |
子日わく、道に聴きて塗に説くは、徳を之れ棄つるなり。 |
459 |
子日わく、鄙夫は与に君に事うべけんや。其の未だ之を得ざれば、之を得んことを患え、既に之を得れば、之を失わんことを患う。苟くも之を失わんことを患うれば、至らざる所無し。 |
460 |
子日わく、古者民に三疾有り。今や或は是れ亡きなり。古の狂や肆、今の狂や蕩。古の矜や廉、今の矜や忿戻。古の愚や直、今の愚や詐のみ。 |
461 |
子日わく、巧言令色、鮮し仁。 |
462 |
子日わく、紫の朱を奪うを悪む。鄭声の雅楽を乱るを悪む。利口の邦家を覆すを悪む。 |
463 |
子日わく、予言うことなからんと欲す。子貢日く、子如し言わずんば、則ち小子何をか述べん。子日わく、天何をか言うや、四時行われ、百物生ず。天何をか言うや。 |
464 |
孺悲、孔子に見えんと欲す。孔子辞するに疾を以てす。命を将う者、戸を出ず。瑟を取りて歌い、之をして聞かしむ。 |
465 |
宰我問う、三年の喪は、期にして已に久し。君子三年礼を為さずんば、礼必ず壊れん。三年楽為さずんば、楽必ず崩れん。旧穀既に没きて、新穀既に升る、燧を鑽りて火を改む。期にして已むべし。子日わく、夫の稲を食い、夫の錦を衣て、女に於いて安きか。曰わく、安し。女安くんば則ち之を為せ。夫れ君子の喪に居る、旨きを食うも甘からず、楽を聞くも楽しからず、居処安からず。故に為さざるなり。今女安くんば則ち之を為せ。宰我出ず。子日わく、予の不仁なるや。子生まれて三年、然る後に父母の懐を免がる。夫れ三年の喪は天下の通喪なり。予や、三年の愛其の父母に有るか。 |
466 |
子日わく、飽くまでも食いて日を終え、心を用うる所無きは、難いかな。博奕なる者有らずや。之を為すは猶已むに賢れり。 |
467 |
子路曰わく、君子勇を尚ぶか。子日わく、君子義以て上と為す。君子、勇有りて義無ければ乱を為す。小人、勇有りて義無ければ盗を為す。 |
468 |
子貢問うて曰わく、君子も亦悪むこと有るか。子日わく、悪むこと有り。人の悪を称する者を悪む。下流に居て上を訕る者を悪む。勇にして礼無き者を悪む。果敢にして塞がる者を悪む。日わく、賜や亦悪むこと有るか。徼めて以て知と為す者を悪む。不孫にして以て勇と為す者を悪む。訐きて以て直と為す者を悪む。 |
469 |
子日わく、唯女子と小人とは養い難しと為す。之を近づくれば則ち不孫なり、之を遠ざくれば則ち怨む。 |
470 |
子日わく、年四十にして悪まるるは、其れ終わらんのみ。 |